うつ病から回復したから見える、人生のハードル

自分たちカップルは、いわゆるメンヘラカップルである。

お互いに「気分が落ち込んで、活動ができないときがある」というタイプの、比較的シンプルな(実際には説明が難しいぐらい複雑な)うつ病を抱えている。

うちの彼女と最近した話は、「お互い動けるようになったから、余計に悩みが出てきたね」ということ。

彼女は彼女なりに仕事を週何回かやっている。自分は週1回の非常勤講師業と、最近は書き物をしている。
(フリープログラマとして受託開発をしていた時期もあったが、そちらは最近あえてやっていない。)

病状が酷いときは、生きるハードルが低くて済む

病状が酷いときは、お金について考える余裕がなかった。その代わり、お金の心配は無かったようなものだった。
「病気」という免罪符があるため、お互いに親に頼れる。そんな生活が長く続いていた。

「病気だから、子どもは諦めないといけないね」彼女は一時期そう言っていたと記憶している。
お互いに慰め合いながら、生きていれば良い。そういう時期があった。

病状が酷いときは、生活のハードルが低くなる気がする。今振り返ると、そのように思える。
本当に「生きているだけで幸せ」と思えるときがあった。

病状が回復すれば、生きるハードルが高くなってしまう

今はどうか。

お互いに少し働ける。少しながら、収入が入る。
そうすると、お互いに「あれっ、親から生計を独立できるかも?」という気分になる。

病状が回復すると、少し希望が生まれる。

しかし、それより重い絶望がその後にやってくる。

我が家における家計の現実を直視する精神的な準備が整ったことで、実際に直視してショックを受けることになる。
病状が回復したことで、皮肉にも見て見ぬ振りが許されなくなる段階に来てしまったのだ。

彼女も、病状が回復してきたとともに、それとなく「子どもがほしいかも」というニュアンスを強めている。
自分も、三十路にも入ると、友人の結婚・出産ラッシュが続く。同窓会に行けば、友人が子連れで楽しそうにしている。自然と、自分も子どもがほしくなってくるのも無理はない。

さて。いま、自分たちは幸せだろうか。

会う数は少ないながら、自分たちカップルは比較的長く付き合っており、客観的にはたぶん幸せな部類に入ると思う。
(経済的な条件が整っていれば、世間的には結婚していても不思議ではない年数ではある)

しかし主観的には、病状が改善し可能性が増えたことで、むしろ「あれもこれもやりたい、でもできない」と悲観的になるときが増えている。

幸せになることの怖さ

生きるエネルギーは、煩悩を生み出すエネルギーでもあるのかもしれない。
選択肢や可能性が増えたからこそ、「あれもこれも」と悩みが増えるのだろうか。

ところで、YUKIというアーティストがいる。自分が長らく好きなアーティストだ。

彼女は「幸せになることを恐れない」というメッセージを、あらゆる曲やインタビュー記事などで発している。

間違いだらけと 判っていても
2人は進んでいる つまりそれは
恐れずに 幸せになる
切符を 手にしている
(YUKI『歓びの種』)

そのメッセージの前提は「幸せになることは、基本的には怖いこと」なんだと思う。

たとえ今の状況が客観的に最悪であっても、そこに居続けることの方が主観的には「安心」に思えてしまうこともあるだろう。
しかし、いったん自分にとっての幸せが「これだ!」と見つけてしまえば、
自分が置かれている状況が相対的に不幸に思えるだろう。

引っ越すこと。職を変えること。新しいことを始めること。

変わることには、不安が伴う。幸せになるには、怖さが伴う。

メンタルの弱い自分たちにとって、「怖いから変わらない」ということは、幸せを諦めるのに十分な理由である。

幸せになることを恐れずに

幸せになるためには、自分自身や周囲の環境を変える必要がある。

メンタルが回復してきた自分たちにとって、「怖いけど変わろう」ということは、幸せへの第一歩である。

「幸せに向かう怖さ」を大切にしながら生きていこうと思う。

藤原 惟

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藤原 惟

エッセイ集・意識が高い哲学的ゾンビ

藤原 惟が考えたこと。堅いオピニオンからやわらかいエッセイまで。 過去の記事→ http://p-zombie.hatenablog.com/
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